たまに本当に魔法が使えるようだ
魔法使い(童貞)であった彼なのだけれど、たまに本当に魔法が使える時があるのをわたしは知っている。
彼が、わたしが疲れている時や緊張して凝り固まっている時を見抜いて、かける呪文がある。
「うずらさん、今日銭湯行こうか。」
こう言って彼はわたしを銭湯に連れ出してくれる。
2人で銭湯に行って、出る時間を決めて、意外と長風呂な彼を待ちながら、熱いお湯に浸かってみたりぬるいお湯に浸かってみたりしていると
不思議と気持ちが楽になってくる。
なんか、まあ、今日もいい一日だったかもしれないと思えてくる。
不思議なことに、
疲れたとか、落ち込んでるとか
一言も言わなくても、彼にはなんとなくわかるらしい。
そして、どうしたら元気になるのかわかるらしい。
わたしは、銭湯とか温泉とかお風呂が好きだ。
知らない人でも知ってる人でもいいから、人と一緒にお風呂に入るのが好きなのである。
そんな話をした覚えはないけど、毎日、「一緒にお風呂に入ろう!」
ってせがんでいるからバレたのかな
こんなこともあった。
具合が悪くて何も食べられないでいるわたしに、彼がりんごをむいてくれた。
一口だけかじってまた横になると、今度は焼きりんごにして持ってきてくれた。
焼きりんごは柔らかいので食べられた。
わたしは具合が悪いときはいつもりんごを食べる。
擦ったり、煮たり、焼いたり、食べやすくして
そんな話をした覚えはないのにどうして彼にはわかるのだろう。
たまにそういうことがある。
わたしは彼はやはり魔法が使えるらしいと思っている。
それか、実はエスパーで心の声が聞こえるのかもしれない。
(…あなたのこころに、直接呼びかけています……….、松屋の牛めしを……買うのです………並盛りで………)
ってやれば、LINEという文明の利器の力を借りなくても、松屋の牛めしを買ってきてもらえるんだろうか?
今度、試してみよう。